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加害者更生プログラム52週修了者体験談(Kさんのケース)

ステップのDV加害者更生プログラムに52週参加された、Kさんから体験談を頂きましたので、原文のまま

ご紹介いたします。


52週終了後の体験談(振り返り)を発表します。


1.自己紹介
・家族:妻と子供二人
・現在:別居して約2年間
・性格:[良い面]明るくプラス思考、人付き合いは苦ではない、負けず嫌い、子供好き

・[悪い面]物事をじっくり考えない、面倒臭がり、人に良く見られたく信頼されたい、相手を不快にさせたくな
 い、断りきれない、身内程冷たい態度をとる傾向


2.過去のDV歴

(1)経済的DV
・家庭の貯蓄を使いきってしまう
・家に入れるはずの給料(現金)を少ししか入れない
・ほとんどが毎晩の仕事帰りの飲食代
・後輩が同席した際は大きい人間と思われたい一心から奢る
・終電を逃せばタクシーで帰宅
・財布は私が管理できるからとパートナーを説得したのがきっかけで私が管理していた。
 結婚するまでは貯金出来ていたので、自然にお金は貯まっていくものと思っていた。

 だが子供がいる家庭で貯蓄することは容易くなく、以前と同じような浪費を続けた結果、

 貯金を使い果たしてしまった。

 その責任についてパートナーがカードを使うから現金を渡せないと、自分のせいではない事を主張していた。

(2)精神的DV
・(相手が正しいのに)常に自分が正しい病
・ (相手が正しいのに)口ケンカで相手に勝とうとする
・ (相手が正しいのに)言われたら言い返す
・相談事を受けても、そんなの甘ったれた考えだ。もっと自分で頑張りなよと突き放していた。

・私の行動に支障があるものは排除していた。(例:妻が風邪を引こうが会社に行く、

 二人目が産まれたばかりで妻が入院中なのに飲み会に参加する)

・パートナーの要求に沿わない。(手続き関係などやり方が分かりにくいものは放置)
・食事中に妻がスマホをいじってるとイライラして注意する
・洗濯の生乾き臭が嫌いで臭うとやり直し
・子供が言うことを聞かない時や食べ物をわざとこぼしたときなど怒っていた

(3)肉体的DV
・車の中や家などで肘打ち、平手打ち、蹴るなどの行為を計4回行った
・車の中でケンカになり車を壁に当て自損させた
・4回目の暴力の翌日から別居になる

3.Stepに通ってから
(1)面談

 最初に受けたアンケートの○×解答欄の項目「言うことを聞かなければ多少の暴力は良い」に○をつけ、

 理事長から考えを正される。今なら大きな×を付けるが当時はそんなことも判断できない思考の持ち主だった。


(2)初回

 DV行為や歪んだ思考を周りから全て批難されると思い緊張していたが、誰一人批難する方はいなく、

 共に学ぶ大切さを説いて頂いた。

(3)1- 2ヶ月間

 最初の頃は、通り一辺倒の差し障りのないことを言っていて中身のない振り返りをしていたと感じる。

 具体的事例を質問された際にあまり思い浮かばないのがその例で、学んでいる方はすぐに

 具体例が出たのが印象的。それは、自分に向き合い過去のどんな事象に対しても目を反らさず

 曖昧にしないで深堀しているからだと実感した。
 この時期は自分の行いが悪かったと気付けるようになってきたが、同時にパートナーもまだ悪いところ
 がありパートナーにも考え方を治して欲しいという思いが頭の片隅にあったのも事実。

 また、パートナーにはstepに通ってるから変わったと思って欲しい、早く同居に戻ろうと伝えていた。
 まだまだこの頃は思考が変わってなかったと今なら思える。

(4)2ヶ月後
 Stepにてターニングポイントとなる[傾聴]を学んだ。

 パートナーとケンカした際、パートナーの意見を途中で遮り自分の言い分をひたすら伝えていた事に気付いた

 それはもはや会話でも何でもなかった。ハッと目が覚めたというのが傾聴を学んだ時の正直な感想である。

(5)3~12ヶ月
 己を知る時期
 自分が知らなかった自分の性格や上質世界を知る。
 基本的欲求では自由が強く、自分勝手な性格であることを実感。
 自由が強い人は自分自身のみで行動しているので周りには一切迷惑を掛けていないと思っていたが実は周りの
 援助を受けて生きているということを学ぶ。
 別居しているので一人だけでの生活と思っていたが、二重生活なのでその分の費用も掛かる。
 但し、そんな状況でも人間一人ではないんだとリフレーミングすることも出来た。

(6)1年~今日
 学びを実践する時期
・別居中のため中々実践する機会は少ないが、メールでのやり取り、稀にある電話のやり取りの際にはstepで学
 んだ傾聴、全面受容、否定しない事など、基本的なことを忠実に行う。
 お小遣いの振り込みがかなり過ぎても要求はしなく振り込みがあれば有り難うと感謝する。

・パートナーから過去の不満話は沢山出る。事実と異なる事も沢山言われる。
 それでも反論しない。一つ一つの説明要求や、異なる事実を暴くことはしないと決めた。
 良いか悪いか結果は分からないが、少なくとも悪くなる事にはならなかったと実感。

・自分の辛さは言わない
 小遣いが少ない、一人で寂しい、車がないから何も出来ないなど、、
 パートナーの方が環境が変わって何十倍も辛い

・自分が変わったと言うことをアピールしない
 パートナーが気付いてくれた時こそが変わったという証

・会社や街中でも普段から人間関係を築く良い習慣を意識して実践することでイライラが軽減出来た。
 そうなると世の中を見る目が変わり、人間関係が良くなることを実感。自分も楽になる。

・まだ上手く出来ない事は交渉。
 但し、今考えている交渉内容は、同居に戻りたいという内容であり、パートナーの気持ちを優先させていない
 自分勝手な意見である。

4.今後
・まだまだ自分自身出来ていない事を認識して、怒らないこと、穏やかな気持ちでいること、
 傾聴することなどの良い習慣を継続して行う。
・パートナーからすれば何一つ変わっていないと思われていることも事実。
・例え99個出来ていても一つできていなければ全てが出来ていないと思われる覚悟で望む。
・今現在ストレスのない生活をしているから出来ると思っているだけかもしれない。
 ストレスの強い場面に遭遇した際(願わくば同居に戻れた場合)でも、ここまで学んできたことを常に実践出来
 るように学びを続ける。
・焦らないでパートナーの気持ちに寄り添い時間が掛かってでも頼られるような夫または父になっていきたい。

5.謝意
・Stepに通い、気付くこと、己を知ること、思考を変えること、相手の気持ちに寄り添うことの大切さを学びま
 した。
・毎回の振り返り時に、その時(週)の心境を天気で表現していましたが、曇りか雨(時たま嵐)しか言わなかった
 のを覚えています。しかし心の天気は今、初めて晴れています。この先どんな未来が待っているか分かりませんが

 この思考と晴れた心の状態で人に接していこうと思います。

・理事長、スタッフの皆様、一緒に学ばせて頂いた皆様には多くの感謝の気持ちでいっぱいです。

 本当に有り難う御座いました。

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