top of page

加害者更生プログラム52週修了者体験談(T.Sさんのケース


 【1年間の学びその先に】
妻とは学生時代に知り合い、卒業後お付き合いを始めました。将来を見据え、2008年からお互いの生活環境の違いを合わせていく為に、同棲を始め、2010年に結婚。2011年に娘を、2013年に息子を授かり幸せの時間を過ごしていると思っていました。
子供が生まれるまではお互いが自由に、楽しいことを共有し、知らない世界を補い合い、尊重し合っていると私は感じていました。
夫婦にとって初めての育児。初めてづくしで手探りでしたが、「このように育てたい」という妻に寄り添っているつもりではいましたが、ポイントとなる場所ではすっかり安心しきり、自分本位な行動をとり続けていました。自分の趣味を優先し、自分の意見・主張を優先していたのです。今思えば、同棲中も自分本位意見を言ったことがありました。
そんな中、妻は病院へ行っても原因が分からない体調不良に陥り、自律神経失調症と不安神経症の診断を心療内科でいただきました。
このあたりから以前と違う妻を、妻から発せられる言動を、思考を責めることが多くなり、最終的には怒鳴っていました。
ハラスメントをしているのではないか?と思う事もあったのですが、私の育った家庭環境を棚に上げ、家族なのだから、私もされてきたよな。と身勝手な解釈を取っていたのですが、もちろん通用するはずもなく、共通の知人からのメールにてDVの言葉を目の当たりにし、自分で更生する事は出来ないのか?と調べ、STEPへ繋がり、即プログラムに参加しました。

~STEPの学びから主に私が実践し続けている事 そしてその先に~
ⅰリフレーミングの実践
1日の日記をつけ、良い言葉を見つけたらメモ。起こった現象に頭に来た、イラッとすることがあった場合、相手はなぜこのようなことを言ったのか?何に困っているのか、どのような思いがあるのかを考え、自分がいけない部分を探し相手を責めることをやめました。批判的な思考を外すよう心がけ、感謝へと置き換えました。
ⅱ自分自身を理解する
過去の記憶を整理。徹底的に自分と向き合い、問題を見つけ見つめなおす事。逃げて否定するのではなく、過去の傷つきとして認知し、良い経験をしたと長所へ変換しました。
ⅲ良い習慣を実践・習慣化する
汚い言葉を使わない。(「結局」「だから」「どうせ」「知らない・分からない」等)
言葉の置き換え(ストーリーの書き換え)
頑張れ⇒頑張っている 辛い⇒幸せになる途中 怒り⇒悲しさを素直に伝える
足りないものに目を向ける⇒恵まれている状況に囲まれていると考える
ⅳ感謝を伝える事
身近な人間関係・コミュニケーションの場で、そうだね~と共感し、伝えてくれて、教えてくれてありがとう!と感謝を伝えるよう意識しました。

STEPで毎週欠かさず学ぶことにより、家族になり、徐々に言わなくても分かってくれている。分かるのが当たり前。伝えるのが恥ずかしい。家族だから許されると思っていたのだと気付かされたのです。
私は、妻に対し、味方になってあげられなかった。ただ目の前にいる。そばにいるだけで本当は幸せなことなのに・・・。小さなこと、つまらないこと、くだらないことを持出し、棚に上げ、それを条件として傷つけていました。
人間は、あの人はこういう人。自分はこういう人。あれはこうだ。等レッテルを貼り、その中に安心や安全を生み出そうとしている人が多いと思いますし、私もそうでした。
世の中の流れや、風潮も同じことが言えるかもしれません。でも、実際には人や周囲の意見、図式に依存した中で安心や安全の保障なんて無い。昨日と今日の景色、時間、自分が違うように、他の人とも見え方、考え方、景色が違う。人それぞれに合った形があって、距離感が存在するのだと思います。だからこそ「今」を冷静に判断し、この瞬間を大事にしていかなければと思えるようになりました。それが、今の家族の修復につながればこんな幸せな事はないし、繋がると信じ、今日も明日もこれからも、振り返りと気づきを大切にしていこうと思います。
人それぞれでいい。多様な考え方があった方が楽しい。恵まれていることを指摘してくれる。違うところを指摘してくれる。そして何より、共感し受け入れてくれる場がSTEPにはあります。「ここではなんでも話せる」と言われる方が多い所以はここにあるのでしょう。批判的思考や相手を責める行為を捨て、相手を理解し共感し感謝し変化し続けることを家庭で、社会で実践する事が重要です。難しいと条件をつけてはいけない。
それを気づかせてくれた身近な家族に、話し合えたSTEPでの仲間に、受け入れてくれた理事長をはじめとするスタッフの方に本当に感謝の思いしかありません。
こんな私を受け入れていただきありがとうございました。そして、「本来の自分」を見つけるヒントをいただきありがとうございました。     T・S  

 

bottom of page