加害者プログラム、終了後の体験談

 

6ヶ月前にステップのプログラムを終了されたS.Uさんから、体験談の寄稿を頂きましたので、
原文のまま紹介いたします。
 

私にとってステップの加害者更生プログラムとは

DVのメカニズムを知り、そして克服をしたい仲間と共に日々の振り返りを行いながら、自分自身の怒りの元となる原因を知ることができました。
そして、理事長はじめ事務局の皆さんの支援を得ながら、DVを克服するばかりでなく、自分自身、ひいては家族が今まで以上に幸せを感じながら生きる術を学ぶ場になりました。
 

 

ステップに来たきっかけ

直接のきっかけは、私が腹を立て、息子に物を投げた時に当たりどころが悪く、大きなけがをさせてしまったことです。また、それ以前から、妻に対して強い暴言を吐くなどが週1回以上続き、それによって家族全員を疲弊させていました。

怒りを抑えるために、心療内科で薬物投与とカウンセリングを受けていましたが、これだけでは根本的な問題を解決するには至りませんでした。

今だから分かりますが、なぜ失敗していたかというと、怒りのメカニズムを理解せずに怒りだけを抑え込もうとしていたからです。人には喜怒哀楽があり、怒りの感情そのものをなくすことはできないことを、プログラムを受講するまでは知りませんでした。
 

 

ステップに来て学べたこと

ステップのプログラムの紹介にもありますが、ここでは2つ、選択理論を用いながら怒りのメカニズムを理解すること、そして受講者同士で実際に起きている日々や過去の行いを振り返りながら学びを深めていきます。

ここで、私は特に3つのことを学びました。

まず、自分の欲求を満たすことで、自分の心に余裕が生まれ、その結果として相手にも余裕を持って接することができ、何かが起きても怒りに結びづけづらくなりました。

次に、自分にとって最も大切にする人は、パートナー(=妻)であることを知りました。それは、家庭内で夫婦関係が良好であれば息子も安心して過ごせ、人生を通して支えあうまさにパートナーだからなのです。

そして、常に「身につけたい7つの習慣」(内的コントロール)を用いることで、家庭の人間関係は良好に保たれ、ひいてはその習慣は家庭の外でも良い影響をもたらしています。

受講期間は52週、すなわち1年あり、初めて聞いた人は面食らうかもしれません。しかし、理事長からも話がありますが、怒りが習慣になってしまった私を含めた受講者ひとりひとりは、その習慣を変えていくのにこの時間が必要になります。それも、できるかぎり連続して毎週受けることが、その習慣を変化させていくために大切になります。
 

 

52回を修了したあとのこと

52週を修了し、半年弱経過しました。大きな問題を起こした後に一時は別居をしていましたが、再び同居をしながら家族で日々を過ごすことができています。それは、以前にもまして安定した日々を得ることができており、この更生プログラムの名前が「金継ぎの会」ということの重みを噛み締めています。

一方で、何十年と続いた怒りに結びつけやすくしてしまう習慣を変えていく取り組みが、52週が終わった後も続けられているのか、自分自身で立ち返って見直すために、頻度は下げつつもステップに通うことにしています。

もし、会でお会いすることがあれば、52週を修了した人がどのような生活を送っているのか、一つの事例として知っていただくことができるかもしれません。
 

 

受講を検討されているご本人へ

おそらく、ここにたどり着いた方は、ご自身の行いを悔いつつ、自分の中で考えた対策も万策が尽き、なおそれでもどうにかしたいという気持ちを持たれていると想像します。かつての私もそうでした。

一方、習慣を変えるのはとても難しいものです。大人になって、筋トレをはじめたり、英語を学ぼうとするときと同じか、それ以上かもしれません。それでも、悪しき習慣を脱却してより良い人間関係を作るために自分を変えようと願いながら、52週の1回1回に取り組めば、ご自身なりの何かを見つけていただくことができるはずです。

理事長もよくおっしゃいますが、他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えることができます。1回目の受講時、絶望から始まった受講者仲間の方も、それを信じて取り組んで修了された結果、新しい良き人生を歩み始めた方をたくさん見てきました。受講されると、それを現在進行形であなたも見届け、そしてその1人になるチャンスがあります。

一つの機会として、門を叩いてみてはいかがでしょうか。
 

 

受講を促したい被害者の方へ

パートナーからDVを受けて、物理的・精神的に傷つききった結果、ここにたどり着かれている方もいると想像します。同時に、このようなプログラムをパートナーが受けてくれたら、変わってくれるのではないかとどこかで信じていらっしゃるはずです。私のパートナーもそうでした。

私の場合は、パートナーと共にプログラムを探し、その後に自発的に受けましたが、そうではなく受講を拒絶されてしまうケースもあるはずです。

これがお力になれるメッセージかは分かりませんが、言えることがあります。それは、ご本人がそのような境遇におられることが辛いことを伝えること、そして今自分自身がやっていることを他人が見たらどう見えているのかを知ってもらえたら、ということです。そのために、夫婦面談を活用することも、良い方法の一つだと私は考えています。
 

 

以上