加害者更生プログラム52週修了者体験談(Yさんのケース
ステップの加害者更生プログラムに52週通ったYさんから、体験談をいただきましたので皆様に紹介いたします。

~ステップに通って~


ステップに無事52回通うことができました。気づきや学びをまとめましたので報告します。


1.わたしの紹介、家族の状況

わたし:52歳 会社員

妻:2001年ころにうつ病発症(療育センタに長男の障害が一生治らないと言われそのショックでその日に二男が1カ月早く生まれる)。

長男:1999年生まれ 発達障害、(他にも特性はいろいろあるが一番大変だったのは)不安対してとても過敏

二男:2001年生まれ 発達障害、重度障害(知的)で言葉は話せず

・2008年に家庭事情に会社に配慮してもらい、自宅近くの職場に転勤。以降家事を主に引き受けるようになった。


2.わたしのDV行為

(1)主なもの

・自宅近くの職場に転勤から数年の後、業務が忙しくなり、妻に家事の手伝いを依頼するが、やってもらえないことが頻繁になり、怒ってしまう。これは、主に妻に対してのDVのほか、長男に対しての面前DVにつながってしまう。

(2)そのほか

・別居前は、(1)等のことが日常的になり、長男は特にわたしに対しておびえるようになってしまった。しかし、振返るとこのほかにも、数年に1回程度DV行為があった。

・2002年ころ、長男・二男と公園に行った際に、長男に「長男がお母さんに迷惑をかけるから、お母さんの元気がなくなった」と言ってしまう。

・2009年ころ、長男が連日学校へ行くのを渋るようになり、妻が「何で行ってくれないの?」の繰り返し状態に。それを見て、わたしが長男の腕を強引に引っ張り、連れ出そうとする。階段の手摺につかまる長男を無理やり引っ張り2階のリビングの階段からわたしと長男が転げ落ちる。

⇒長男の大きなトラウマに(当時はそれほど長男に言われなかったが、(1)の状況となってから、長男に謝罪を要求される)

(3)振り返ると・・・

・そのほか、その後のステップの振り返りでも、目立ったことではないけど、DV的な考えはあったなあと思うこと多々あり(自分の思い通りにならない、理屈攻め、自分が正しい・相手がおかしい)。

3.ステップのきっかけと当初の自己認識

妻からわたしの対応はDVに当たることを指摘され、通って欲しいと言われる。NHKのDV特集で栗原理事長が出演されていたことから、ステップに連絡を取る。当初から、怒って妻と子供を怖がらせていたことはよくないこととは認識していたが、怒らせる妻に原因があると思っていた。ステップの面談で説明を聞き、7つの習慣で外的コントロールばかりだったと思い知らされる(ステップに来る人で当てはまらない人はいないと思いますが)。


4.ステップでの気づき・学び

(1)主な気づき

怒りの原因や過程、それに対する考え方やコミュニケーション(人間関係の構築)について学んだ。

①怒りの見える化:大事なことは、思考や感情を記録すること。記録することで、客観視できるようになり、自身の思考(怒りにつながる思考)の変化に気づくようになる。

②心の傷つき  :わたしには怒りの原因のなかでとても大きな割合を占めていることを感じた。

例えば、「家事を手伝ってもらえない」⇒「心が傷つく」⇒「怒り」

③理想と現実  :「(あるべき)理想や願望」と「現実」にギャップがあると強引に埋めようとして、安易に強迫的な手段をとってしまう。

④受容     :7つの良い習慣の1つ。受容には受け止めと受け入れがある。受け止めは、検討の俎上にあげるということ。

⑤アングリーマンは強い:ノルウェーのアニメ。お父さんの中に怒りに支配された別人格がいて、怒りに任せた行動を変えることが難しいと弱気になる。

これら学んだことは、すぐに「ああ、そうか」と思えるものの、それを自分でものにして肚に落とし込むには、時間がかかる。継続的に通うことに意義があると感じた。

(2)学び

ステップに継続して通ったことで得た気づきや経験を通して、自身の変化を実感したものや新たな価値観として獲得したものを紹介。

怒りのメカニズム

『心の傷つき』等の『ネガティブな思考』を持っていると、脳や体の状態が変化(反応)し、『怒り感情』(ノルアドレナリンandアドレナリン)につながる。

脳や体の反応は生体的な反応であるので、コントロールできない。『ネガティブな思考』をリフレーミング(捉えられている物事を枠組みをはずして、違う枠組みで見ること)によって、捉え方を変化させ『健全な思考』とすることで、脳や体が反応せず怒り感情へつながらなくなることが実感できた。

『べき』が嫌いになる

怒りにつながる要因の1つとして、『べき』思考がある。自身の価値観や理想を強く押し出し、こうある『べき』という思考を持つと、他者に対して支配的(所謂マウント)になってしまい、怒り等強硬な手段を用いるようになってしまう。

わたし自身が、他者の『べき』を強要される機会があり、その経験を通して『べき』思考とても不健全な人間関係を構築する大きな要因となることに気づいた。

それまでは、わたし自身『べき』思考をよく用いていたが、以降、『べき』思考に嫌悪感を抱くようになり、思考や感情が変化した。

全受容(これは、わたしなりの全受容の解釈です)

わたし自身にショックな出来事があり、ステップの場で心情を吐露し、その後数日経って自宅で振り返りをしていると、ステップの場面が思い出された。それは、わたしの相談をみんなが一緒に考えてくれたり、みんなも苦しい思いを吐露している光景で、わたしにとってこの営みがとても大切なものに思え、ここで学んだことを『無駄にしちゃいけない。大事にしないといけない。』という思いが溢れた。

受け入れ続けてもらい心が満たされると、自然と受け入れてもらっている対象を大切に思うようになることが実感できた。わたしにとってこの経験はとても貴重なもので、夫婦、親子等の人間関係において、お互いに受容できていたら、お互いを大切に思うことができることを知った。自身の生き方の目標ができた。

5.最後に

ステップに通って、『怒り』の原因や対応の仕方が学べたことはもちろん、人間関係を中心とした生き方も学ぶことができ、これからの目標ができた。スタッフや一緒に通って学んだみなさんに感謝したい。

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